最新のデジタルPCR解析について

PCR解析とは大学で生物学系を学んだ人であればまず確実に知っていると思われるくらいに有名な技術で、サンプル中に存在する特定のDNA配列について、短時間に10の6乗から10の10乗といった極めて大きな倍率で増幅させる方法のことです。

これは遺伝学上の検査とか研究のためには非常に大きな役割を果たしているのは間違いないのですが、一方では定量的な把握が困難という弱点がありました。

イメージ的な説明をしますと、元のサンプル中に10個含まれている場合と、100個含まれている場合とでは10倍もの違いがあるわけですが、短時間で非常に多く増幅される結果、ほんのちょっとした反応速度の違いなどによって、反応後のサンプルでは例えば100万個と1000万個のように最初と同じように10倍の差が生じることはまず期待できません。

100万個と200万個といった結果になることもありますし、500万個と1億個というような結果になることもあって、確かに検量線を引くなどの方法によってカバーできる面もあるものの、果たして元のサンプルにいくつの対象DNAが含まれていたのかを定量的に知ることは原理的に難しいのです。

この点を改良したのがデジタルPCR解析であり、まさにデジタルという名称が示すとおり、コンピューター処理などと同じように0か1かで離散的に処理することを意図したPCR解析で、定量性に優れていることが大きな特徴となっています。